山内マリコ『あたしたちよくやってる』
なにも買わなくても満たされるこんな遊びをする休日、彼女は春の庭をふわふわ飛びまわる蝶々になった気分で、都会の雑踏をすいすいかき分けてゆく。
好きな表現。
なーんだ、この人、守られてたのか。(. . .)
誰かの奥さんだったなんて、なんだかがっかり。
なんかわかる、憧れの人が庇護化にあった時のがっかり感。孤高であってほしいよな。
われらのパリジェンヌ
いつかこの窮屈なサークルから飛び出して、わたしもヨーコのように、悪口を言われる側に回りたいと。こんなので生きていけるの? と眉をひそめられるような暮らしを送ってみたいと。
三人はヨーコの人生というドラマの観客でありつづけたけれど、きっとヨーコは二十年の間、この三人のことを思い出したことなどないだろう。
私もヨーコの立場になりたい。
それでも、「歌を歌いながらパンを得よ」とわたしは言います。つまり、楽しく働いて生きていこうってことです。
人生の前半は、できるだけ好きと思える仕事を探す旅です。わたしはその旅に、三十一年もかかりました。
なんか、自分の人生を肯定された気持ちになれて嬉しい。
わたしの京都、喫茶店物語
なにより二十代前半のわたしは、なにかをしたいと思いながら、それがなんなのかわからなくていつもイライラしているような子だったから、
自分は一体なにがしたいのか、なにができるのか。体の中に得体の知れないものがいて、そいつがなかなか現状に満足してくれない。
この焦燥感とてもわかる。
テラス席に座り、赤いブロックチェックのテーブルクロスの上の、真っ白いカップに入った深い味わいのコーヒーを、たっぷり時間をかけて飲んだ。優雅で、どこか楽天的な雰囲気があり、なんだかこれからの人生、全部うまくいくような気がした。そしてじんわりと、「ああ、わたし、ついになんとかなったんだな」という思いが溢れてきた。四条大橋で不動産屋のおねえさんが言っていたより、はるかに時間はかかったけれど。
京都の生活いいなあ。
...
この問題はとても根深い。女の人が知らず知らずのうちに、自分の中に「男の目」を植えつけてしまっていることはよくある。(. . .)でも、できるだけ早く、ものごとを女の目で見られるようにならないと。
自分も、男性の目を通した女性を描かないように気をつけよう。
『超遅咲きDJの華麗なるセットリスト全史』、いい話。