江國香織『ぬるい眠り』
ぬるい眠り(江國香織、新潮社、2007)
ぬるい眠り
主婦には主婦のオーラがただよっている。ぬかみそくさいとか、生活っぽいとか、そういうんじゃなく、もっと艶っぽい、もっとなまめかしい何か。目の前の人でいえば、ポニーテイルの首すじだとか、無造作にサンダルをつっかけた足元だとか。
なんかわかる気がします。
災難の顛末
台所にいくと、私は黙々とサンドイッチを作った。胚芽入りの食パンにバターとマスタードをぬりつけ、肉屋さんで薄く切ってもらったハムを五、六枚、一枚ごとにサラダ菜を入れてはさみこむ。
とろとろ
私がどういう女なのか、説明するのは簡単だ。小学生のときは図書委員で、短い髪をしていた。中学生のとき、肺炎で五日間入院した。高校生のとき、はじめてコンサートというものに行った。KISS の初来日コンサートで、(. . . )
こういう自己紹介いいな。