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2022-01-01から1年間の記事一覧

ミュリエル・バルベリ『京都に咲く一輪の薔薇』

ミュリエル・バルベリ『京都に咲く一輪の薔薇』永田千奈訳、早川書房、2022 理想化されすぎた京都というかんじがする。 サヨコの英語が日本人らしくない。 "Today very busy." "Paul san in Tokyo today." とか、カタコトなのを表したいのだと思うけど、be …

村田沙耶香『コンビニ人間』

村田沙耶香『コンビニ人間』文藝春秋、2016 自分が働いているのに、その職業を差別している人も、ちらほらいる。 何かを見下している人は、特に目の形が面白くなる。そこに、反論に対する怯えや警戒、もしくは、反発してくるなら受けてたってやるぞという好…

桜林直子『世界は夢組と叶え組でできている』

世界は夢組と叶え組でできている(桜林直子、ダイヤモンド社、2020) そうやって「子供がどうしたいのか言う」のと「親が関心をもって見る」をくり返していたら、結果的に「欲を言語化する」習慣になっていた。「こうしたい」という欲にフタをしないですんだ…

宋欣穎『いつもひとりだった、京都での日々』

いつもひとりだった、京都での日々(宋欣穎、光吉さくら訳、早川書房、2019. Hsin-Yin Sung. 京都 寂寞 / Alone in Kyoto. Taipei, Taiwan; 2015) 一か所に長いこと住んでたら、闘志いうんを失ってしまう。若い頃の勇敢さとか夢を忘れてしまうねんかぁ。 で…

山内マリコ『選んだ孤独はよい孤独』

選んだ孤独はよい孤独(山内マリコ、河出書房、2018) 角岡さんは自分を重要人物だと思わせる存在感を出すのが上手いだけで、全然仕事してなかった。まあ、そういう男性社員って多い。彼らはなんの悪気もなく、まるで自分の権利みたいに女性社員に雑務を押し…

ミシェル・ザウナー『Hマートで泣きながら』

Hマートで泣きながら(Michelle Zauner, 雨海弘美訳、集英社、2022) わたしが顔をしかめたりにこにこしすぎたりすればおでこを指でこすり、「しわになるんでしょ」と叱った。 Re Jane にも同じ動作があった。 生まれながらにしてハーブやリバーといった名前…

アザール・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』

アザール・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』市川恵里訳、河出書房、2021 男尊女卑の凄まじさに驚く。 革命後、結婚可能年齢が十八歳から九歳に下がったことを、姦通と売春に対する刑罰として石打ち刑が復活したことを、屈辱と思っているだろうか。 …

ミア・カンキマキ『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』

ミア・カンキマキ『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』末延弘子訳、草思社、2021 平安時代の宮廷世界は美に捧げられた宇宙で、それらを支配しているのは歌であり、書であり、音楽であり、恋愛だった。これは、世界中のどこにもなかった文化だ。 ど…

山本文緒『そして私は一人になった』

山本文緒『そして私は一人になった』KADOKAWA、1997 泣いていても夜空に消えてしまった原稿は帰ってこない。 異常なぐらい私は日記をつけるのが好きなようだ。 前に「小説現代」に掲載された「プラナリア」という短編の扉絵があまりに素敵で気に入って、「も…

江國香織『落下する夕方』

落下する夕方(江國香織、KADOKAWA、1996) 2杯目の紅茶をつぎ、ミルクを入れてかきまわす。小さなスプーンは、カップに触れるといかにも喫茶店然とした、空々しく、女々しい音を出す。 「コーヒー、お砂糖はなしでミルクだけたくさん入れてね」 私の「でも…

宮本佳実『可愛いままで年収1000万円』

宮本佳実『可愛いままで年収1000万円』WAVE 出版、2015 自分の「好き」の基準がわからなくなったら、憧れの人のセンスを少しだけ取り入れてみるのも、一つの手段だと思います。 あらかじめ自分が「こうだったらいいな」という1日をつくっておくのです。 夢を…

山本文緒『プラナリア』

山本文緒『プラナリア』文藝春秋、2000 その週末、豹介が自分の母親の誕生日(!)だからと実家に帰って行ったので、私は久しぶりに女友達と街に出た。 こういう彼氏の話、友達からたまに聞く。 憎んでいるということは、愛してもいるということだ。私はひど…

山内マリコ『かわいい結婚』

鏡の前に立ち、なんて冴えない格好なんだろうとひかりは思った。嫌だなぁ、まるで主婦みたいじゃないか。 マタニティウェアを着たときに同じことを思った。 しかし慣れた暮らしをつづけるのはなにより安心で安全だ。その安心感が少しずつあや子から覇気を吸…

ミン・ジヒョン『僕の狂ったフェミ彼女』

僕の狂ったフェミ彼女(ミン・ジヒョン、加藤慧訳、イースト・プレス) 「何が一番嫌かって、本当に自分がおかしくて、大げさなだけだったらどうしようって思っちゃうこと。みんな違うって言うし、本当に私がおかしいのかな? 違うのに」 セクハラ被害者ある…

多和田葉子『百年の散歩』

多和田葉子『百年の散歩』新潮社、2017 棚に子供の本ばかりが並んでいると花園のように見える。 同じ場所に留まっている人間は、自分の足に足枷がはめられていることに気づくことがない。これはローザが残した言葉だ。 自分が孤独だと認めてしまうのは気持ち…

エリザベス・ギルバート『食べて、祈って、恋をして』

エリザベス・ギルバート『食べて、祈って、恋をして』那波かおり訳、早川書房、2020(新版) なかにそっとチーズが詰められたズッキーニの花のフライ(蔓から摘まれたことに花たちは気づいていないかもしれないと思わせるほど、ものすごく繊細に料理されてい…

トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』

トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』村上春樹訳、新潮社、2008 いつの日か目覚めて、ティファニーで朝ごはんを食べるときにも、この自分のままでいたいの。 私はニューヨークが大好きなの。私の街とは言えないし、そんなことはとても無理だと思…

加藤貴子『大人の授かりBOOK - 焦りをひと呼吸に変える、がんばりすぎないコツ -』

加藤貴子『大人の授かりBOOK - 焦りをひと呼吸に変える、がんばりすぎないコツ -』ワニブックス、2018 不妊治療のドクターも、分娩担当のドクターも、「とにかくストレスをなくしてください」って言うんです。ストレスというのは、それほどまでに恐ろしいも…

牧野恭仁雄『子供の名前が危ない』

牧野恭仁雄『子供の名前が危ない』KKベストセラーズ、2014 日本社会そのものが、金持ちと貧乏人、知能の高い人と低い人、モラルのある人とない人、というふうに両極端に分かれてしまっているんです。そのようにおたがいに地続きではなく、別世界だ、というこ…

鴨長明『方丈記』

たかきいやしき人のすまひは、代々を經て盡きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。 よのつねにおどろくほどの地震、二三十度ふらぬ日はなし。十日廿日過ぎにしかば、やうやうまどほになりて、或は四五度、二三度、もしは一日ま…

アーシュラ・K・ル=グウィン『いまファンタジーにできること』

アーシュラ・K・ル=グウィン『いまファンタジーにできること』谷垣暁美訳、河出書房、2011 (Cheek by Jowl. 2009) 好きな箇所 起て! 英文学科の学部生たちよ! トールキンはティンカーベル系統の愛らしい小妖精に殺意に近い憎悪を抱いていた 文学畑の人は…

松本杏奈『田舎からスタンフォード大学に進学した私が身につけた 夢をつかむ力』

松本杏奈『田舎からスタンフォード大学に進学した私が身につけた 夢をつかむ力』 KADOKAWA、2022 そこで、知識の活用先の独自性で戦うことにした。 自分の知識をどう活用するか、考えたことなかった。 戦略を立てるとなると、まず始めに、①自分の状況、②強み…