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なんでもメモする場所

大野晋『日本語練習帳』

好きなところのメモ

 

当時の日本の男たちは、豊富な語彙をもつ漢文を学習して漢語が使えるようになればそれで立派だと思い、漢語の学習へと傾斜していました。その中で紫式部は、自分の言葉はヤマトコトバだと自覚し、それを細かく使い分けようと心を鋭くしていたのです。そこで足りないところを造語しました。

 

法律の権威を背後にもっているせいか、法学者の文章は、日本語としての分かりやすさに配慮しないものが少なくありません。

 

ヤマトコトバの代名詞には、相手を上下で扱うものはない。上下で扱うのは、漢語によるものが大部分、ということは、上下でとらえる敬意は、中国の家父長制の考え方が輸入されてから漢語とともに広まったので、それ以前は人を遠近で扱い、近くが親愛、遠くが尊敬の扱いとなっていたと考えられます。

 

民主主義の考え、我も汝も、金持ちも貧乏人も、選挙において一票という考え方は、人間の甲乙的体制を基本的前提として初めて成立することだと思います。