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なんでもメモする場所

多和田葉子『百年の散歩』

多和田葉子『百年の散歩』新潮社、2017

 

棚に子供の本ばかりが並んでいると花園のように見える。

 

同じ場所に留まっている人間は、自分の足に足枷がはめられていることに気づくことがない。これはローザが残した言葉だ。

 

自分が孤独だと認めてしまうのは気持ちがいい。春だからこそできること。孤独だなんて最悪の敗北宣言ではあるけれど。友達が見つからなかった、恋人が見つからなかった、家族が作れなかった、仕事がない、住むところがない。そうなっても誰もじろじろ見たりしないから、平気で歩きまわれるのが大都市だ。