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温又柔『祝宴』

祝宴(温又柔、新潮社、2022

 

一方で、長女に同性の恋人がいるという事実を受けとめきれずにいる自分を、妻や次女に知られたくないとも感じている。どうしてなのか、それが、ちょっとした恥のようにも思えるのだ。

それが現代の両親の感覚なのかなぁ。

 

--オジイチャンは台湾人なのに日本語が読めるんだね。
瑜瑜にそう言われて、ああオジイチャンは昔日本人だったからね、と義父は誇らしそうに言っていた。考えてみれば、あれは昭和天皇が逝去した年の夏である。
--オジイチャンは、新しい天皇陛下が生まれた日のことを覚えているよ。

 

僕は、生まれてもいない孫なんかよりも、既に存在している自分の娘にこそ幸福であってほしいと願っています。

 

--明虎、おまえがいれば、爺(パパ)は十分だよ。おまえがいるおかげでどれだけ救われているか……

このセリフが理解できる人生の段階に来てしまった。