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江國香織『いくつもの週末』

江國香織『いくつもの週末』
集英社、1997

 

月曜日の朝、私は夫が会社にいってしまうのがつまらなくて、つい仏頂面になってしまう。(. . . )そして、自分でも驚いてしまうのだけど、そのくせ夫を送り出した瞬間、ものすごい安堵の波がおしよせるのだ。(. . . )玄関をでるときあれほど未練がましくしていた妻が、ドアを閉めたとたんにそんなことを考えているなんて、きっと夫は想像もしていないだろう。

わかる。

 

(夫は)かわりの服をとってきてあげないと何も着ないし、コンタクトレンズをはずしに洗面所にいくのさえ億劫がる始末で、レンズケースと洗浄液と眼鏡を持ってきてあげなくてはいけない。寝そべった夫の頭上五十センチのところにあるリモコンさえとってくれと言うので口論になる。蚊にさされれば、さされた箇所をわずかに持ち上げて「くすり」と言い、なにか薬を塗ってあげるまで何度でも催促する。

 

これは衝撃的。江國香織のような高名な小説家でも夫から奴隷のように扱われるのか…。なんか悲しいな…。