落下する夕方(江國香織、KADOKAWA、1996)
2杯目の紅茶をつぎ、ミルクを入れてかきまわす。小さなスプーンは、カップに触れるといかにも喫茶店然とした、空々しく、女々しい音を出す。
「コーヒー、お砂糖はなしでミルクだけたくさん入れてね」
私の「でも」はきこえなかったのか、片手で抱えた缶からビスケットをだして食べながら、華子は言った。
とろりと生ぬるい甘酒をなめるようにのみながら、私はベンチに浅く腰かけた。
なぜか飲み物のシーンが好きだ。
江國香織の小説ってなんでおしゃれな雰囲気があるんだろう?